更新日 2018/5/20
2018春・静岡東部・神奈川県西部 その3 静岡市2 |
2018/3/21〜25 |
2018年3月22日 二日目です。
残念ながら、朝から雨・・・。
谷津山古墳群は、山を登らなければならない…。
谷津山古墳群 | 静岡市葵区柚木 |
静岡市の中心部にある独立丘陵谷津山の尾根上にある古墳群で、4基確認されている。 | |
1号墳(柚木山神古墳)は、全長110mの前方後円墳で山頂につくられている 3段築成 竪穴式石室がある。 4世紀末の築造と推定されている。 2号墳は、全長36mの前方後円墳 3号墳は、詳細不明 4号墳(清水山古墳)は、横穴式石室があったが、詳細不明 |
谷津山古墳は諦めて、静岡市清水区に向かう。
牛王堂山古墳群 ゴオウドウヤマコフングン |
静岡市清水区庵原町 撮影日2018/3/22 |
東名高速道路清水ICの北にある丘陵上にある。
元はゴルフセンターだったようだが、現在は太陽光発電のパネルが並ぶ中に、墳丘らしい高まりがふもとから見える。
牛王堂山古墳群は、 前方後方墳1(3号墳)、前方後円墳又は円墳1(1号墳)・方墳1(2号墳)の計3基が確認されている。 開発で、1・2号墳は消滅している。 |
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1号墳 | 全長40〜50m・前方部長さ15m・前方部幅8mの前方後円墳または直径25mの円墳 木炭槨(木棺の周囲に吸湿用の木炭をつめたもの)から、 直刀、剣、刀子、鉄鏃、ガラス小玉(約30)、木炭の付着した銅鏡(径11.2cm)が出土 木棺はスギ製で、ベンガラが塗られている。 4世紀末〜5世紀初めの築造と推定されている。 昭和20、30、39年に発掘調査 |
2号墳 | 東西20m・南北12mの方墳 主体部は不明 4世紀初めの築造と推定されている。 |
3号墳 | 全長78mの前方後方墳 後方部長さ44m 周溝なし、葺石なし、埴輪なし、段築なし 粘土槨の中に木棺があり、三角縁神獣鏡が出土 この三角縁神獣鏡は径22.5cmで、三重県桑名市出土鏡と同形とされている。 |
牛王堂山3号墳 左・後方部 右の低くなっているところが前方部 西麓の「しずてつジャストライン」営業所の 敷地内から見る |
塔作8号墳 | 静岡市清水区庵原町 撮影日2018/3/22 |
庵原野球場の北側の広場に、モニュメントとして、移築保存されている。
塔作古墳群は、19基確認されている。 清水庵原球場周辺に分布している。 墳丘のほとんど無い横穴式石室墳で、古墳時代末期の築造と推定されている。 野球場建設に伴って調査され、残りの良い8号墳石室のみ移築保存された。 |
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塔作8号墳 石室 |
塔作8号墳 石室長さは3mくらい、 8世紀初頭の築造と推定されている。 |
まさしく古墳モニュメントです。
三池平古墳 県史跡 |
静岡市清水区山切 撮影日2018/3/22 |
復元整備され古墳公園となっている。駐車場あり
清水ナショナルトレーニングセンターの南東隣りにある。
駐車場から見た三池平古墳
右上に後円部が少し見えている。
前方部は後円部の向こう側
三池平古墳は、全長68mの前方後円墳 後円部径43m 3段築成で、1段目の墳丘は、丘陵の斜面が下がる南西方向のみに設けられ、 その上に2段目、3段目の墳丘が作られている。 埋葬施設は、板石を小口積みにした竪穴式石室の中央にくり抜き式の割竹形石棺を納めたもの。 石室内と石棺の内面には朱が塗られていた。 未盗掘の石室から、 変形方格規矩四神鏡、変形四獣文鏡、筒形銅器、帆立貝形石製品、紡錘車形石製品、 鉄刀、鉄剣、鉄鏃、刀子、鏨、鑿、鉄斧、鉄鍬先、鎌、 ガラス製勾玉、碧玉製管玉、ガラス玉、車輪石、石釧などが出土 出土した骨の分析から、被葬者は比較的若い成人男性と考えられている。 5世紀初めの築造と推定されている。 このような埋葬施設の構造は、これより東国の同時期の古墳からは発見されていない。 |
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古墳復元全体図 (パンフから) 墳丘の復元にあたって、 墳丘の形状は墳頂部がすでに削られて検出できなかったため、 くびれ部の角度を基準にして復元している。 石室は保存のため埋戻し、墳丘上にレプリカを設置した。 排水溝は、 石室からくびれ部付近に向け墳内に設けられていたが、 墳丘上に復元した。 裾石は部分的に復元した。 |
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石棺蓋(パンフから) |
石棺内部 (パンフから) |
後円部側 左斜め奥に前方部がある。 |
埋め戻した墳丘の上に石室が再現されている。 7枚の天井石 |
後円部から前方部を見る |
前方部には、排水溝の様子が再現されている。 |
前方部から後円部を見る |
墳丘東側には、周溝が示されている。 右奥にみえる石は、単なるベンチ代わりの石 |
この後に行った静岡市立埋蔵文化財センターには、三池平古墳の出土品も展示されている。
三池平古墳出土品展示の様子(抜粋) 埋蔵文化財センター展示から | |
上段 太刀・剣 下段 竪穴式石室写真 |
鉄斧・鉄鏃 水銀朱・帆立貝形石製品・管玉 |
変形方格規矩四神鏡、変形四獣文鏡 |
車輪石・石釧・ガラス小玉 |
剣・鑿・ヤリガンナ |
サルボ・鏨・鍬先 |
静岡市立埋蔵文化財センターで、三池平古墳のパンフをもらったが、現地の説明板と全く同じ内容だ。
神明山1号墳・4号墳 県史跡 |
静岡市清水区柚師町 撮影日2018/3/22 |
三池平古墳の南約1.5kmの神明宮に古墳がある。
神明宮と古墳の由来という石碑(説明板)がある。
神明宮と古墳の由来 | |
神明山古墳は、庵原の三池平古墳に匹敵する前方後円墳で、5世紀末の豪族の墳墓である。 この古墳は「いおはら国」の主権者の墓と考えられている。 その後次々と支配者が葬られ、神明東築山古墳、神明神社本殿前古墳、神明神社西古墳となった。 歳月が流れて、この祖先の眠る神聖な場所に祖先を崇拝するために神明神社が祀られて 一族の氏神となったと考えられる。 (説明板から抜粋) |
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神明宮 南東側が正面 |
神明宮 社殿 |
古墳群の説明板もある。
神明山古墳群は、 清水平野の東部、庵原山地から折戸湾に向けて流れる 庵原川の下流域の独立丘陵(神明山)上にある。 この独立丘陵は、標高13mの小高い丘で、 もともとは北東から南南西にかけて丘陵が延びていたが、 道路建設や宅地造成などの開発によって姿を変え、 現在は、神明宮と2基の古墳が残るだけとなった。 |
神明山古墳群 分布図 (説明板から) 1:1号墳 2:2号墳 3:3号墳 4:4号墳 5:5号墳 6:上嶺遺跡調査地点 |
社殿の後ろに神明山1号墳。
神明山1号墳 | |
本殿裏、神明山の独立丘陵の頂上部分にある。 全長69mの前方後円墳 後円部直径40.8m、前方部の長さ31.5m 前方部がバチ形をしており、初期の特徴を示す 周溝は、前方部の西側に幅7.2m、後円部の一部に幅3.1m〜5.3mの浅い周溝がめぐる 墳丘の外周部から土師器や刀子が出土している。 古墳時代前期前半(3世紀後半?)の築造と推定されている。 静岡では最古の古墳のひとつと考えられている 神明山1号墳平面図 1960年(昭和35年)から 数度発掘調査が行われている。 とくに、1998年の調査で、古墳の形態や規模、 築造年代についての内容が判明した。 埋葬施設は未調査。 |
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左が後円部 北西から見る 向こう側に社殿 形はかなり崩れているように感じる…。 |
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前方部から後円部を見る |
後円部から前方部を見る |
後円部側 |
前方部にある穴 |
境内の東端に石室だけ保存されているのが、4号墳。
神明山4号墳 | |
1号墳の東側に墳丘を壊さないように造られた径18mの円墳。 横穴式石室は、全長10.2m、玄室長6.8m・高さ1.6m・中央部幅1.8m 羨道長3.7m 6世紀末〜7世紀初頭(古墳時代後期末)の築造と推定されている。 出土遺物 石室内から 武器類(鉄刀、鉄鏃)、武具類(冑、小札甲)、 装身具類(勾玉、丸玉、ガラス小玉、耳環)、 馬具類(轡、雲珠、馬鈴)、須恵器(壷、坏、瓶)など、多彩な遺物が出土。 大形の馬鈴は類例が少なく非常に珍しいもの。 1965年(昭和40年)に調査、2000年(平成12)の範囲確認調査では周溝一部が確認された。 |
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4号墳平面図(範囲推定図) (説明板から) |
石室実測図 (説明板から) |
長い石室 |
玄室上の天井石 奥が入口 |
4号墳の隣りは、すぐ住宅街だ。
秋葉山古墳群 アキハサンコフングン |
静岡市清水区柚師町 撮影日2018/3/22 |
2008年に整備された秋葉山公園には、古墳がある。
南側の丘陵部に3基の古墳が確認されている。古墳の広場ゾーンがある。
整地された丘陵頂上に残されているのが、1号墳。
秋葉山1号墳 | |
径10mほどの円墳 第二次大戦中に高射砲陣地が置かれていたためにかなり改変されてしるが、 発掘調査で古墳時代初期の銅鏃が見つかる。 周溝があり、周溝から、土器が出土している。 古墳時代前期の築造と推定されている。 平成3年度に調査 |
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1号墳 整備平面図 (説明板から) |
出土した銅鏃 (静岡市埋文センター展示から) |
丘陵頂部にある。 |
丸い植栽が墳丘部分かな |
2号墳の案内板を見つけるが、墳丘が見あたらない。
右にあるのが、秋葉山2号墳の案内板だから、
ここが2号墳と思われる。
そばの林の中にある神社が3号墳
秋葉山3号墳 墳頂の稲荷社 |
横から見た秋葉山3号墳 |
秋葉山公園には、アスレチック遊具や、ローラースライダーがあり、景色も素晴らしいというが、
雨模様なので…。
静岡市埋蔵文化財センター 石棺など |
静岡市清水区横砂東町 撮影日2018/3/22 |
石棺があるというので、静岡市埋蔵文化財センターへ。
静岡市埋蔵文化財センターでは、
旧石器時代〜江戸時代までの出土遺物や、伊庄谷横穴南谷17号墓出土の木棺、
三池平古墳の副葬品や尾羽廃寺跡からの出土遺物などを展示し、
巴川から出土した鎌倉時代の丸木舟、白鳳時代の東山田3号瓦窯跡の復元模型も見学できる。
賤機山古墳の模型もある。
屋外には石棺が二つ置かれている。
丸山古墳出土石棺 | |
2つの石棺は、静岡市駿河区大谷の丸山古墳の石室内に置かれていたもの 丸山古墳 墳丘測量図 (説明板から) 丸山古墳は一辺20m・高さ3.5mの方墳 長さ12m・幅2.5mの横穴式石室があった。 |
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左の家形石棺は、羨道部に置かれていた。 右の組合式石棺は、玄室に置かれていた。 どちらも破壊されていたが、特徴のある形や破片をつなぎ合わせて復元した。 右の組合式石棺からは、耳飾り・首飾り等の玉類がたくさん出土。 家形石棺は、全国的にも出土例が少ない。市内では賤機山古墳にある。 |
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石棺内部 手前が家形石棺 |
家形石棺の横には、小さな穴。排水穴? |
組合式石棺 |
家形石棺の蓋 横に展示されている。 |
館内を見学する。
伊佐谷横穴群出土の組合せ式木棺の展示 |
伊佐谷横穴群は静岡市駿河区大谷字伊佐谷にある。 昭和37年、47年、54〜55年、57年と調査 現在南谷31基・北谷で30基以上が確認されている。 6世紀中葉〜8世紀初頭の築造と推定されている。 南谷17号墳は、玄室の保存状態がよく、 四隅に大きな石を据えた棺座の上に木棺が安置されていた 耳環4点の出土状況から、入口側に頭部を向けでいたものと考えられている。 |
伊佐谷横穴・群南谷17号墳の 出土木棺 ガラスケースの中に展示されている。 |
静岡市には、りっぱな古墳が発見されているので、充実した内容となっている。
三池平古墳出土品も展示されていて、必見です。
室ヶ谷3号墳 室ヶ谷古墳群 市史跡 (旧由比町) |
静岡市清水区由比 撮影日2018/3/22 |
室ヶ谷古墳群は、旧由比町の本光寺周辺にある。
室ヶ谷古墳群は、円墳6基(1〜4号墳、オコリ塚古墳、庚申塚古墳))が確認されている。 古墳時代後期(6世紀後半〜7世紀前半)の横穴式石室があり、多くの副葬品が出土している。 1号墳から、頭椎太刀(カブツチノタチ)、4号墳からは双竜双玉環頭太刀(ソウリュウソウギョクカントウタチ)が出土している。 |
現存するのは、2号墳・3号墳 |
本光寺 左に、4号墳跡地の石碑 手前右方向に、3号墳石室 |
3号墳の石室は、本光寺駐車場に保存されている。
室ヶ谷3号墳石室 | |
横穴式石室は、現存長6m、幅2.1m、やや胴張りの無袖式 床面には2ヶ所に川原石を敷き詰めた棺台が残っている。 |
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石室は祀られている |
石室内部 |
石を敷き詰めた棺台がある。 |
石室内部から外を見る 入口側にも棺台がある |
墓地入口には4号墳跡の石碑がある。
室ヶ谷4号墳 横穴式石室は3.6m×1.2mの胴張り状無袖式であった。 | |
4号墳跡地の石碑 |
そのそぱに古墳供養塔 |
2号墳はどこにあるのか…?
富士市に入る。
国道1号線にある「道の駅富士」で、 塩ラーメンの昼食。
伊勢塚古墳へつづく