北村さんちの遺跡めぐり
更新日2015/12/1

福井県若狭町・小浜市
その3 向山古墳群ほか
 2015/10/12
2015/11/22

2015年11月22日、シンポジウム「向山古墳群の世界」(若狭町歴史文化館)に参加した。
他の古墳の探索も。

地図g

向山古墳群

福井県若狭町堤・下吉田
撮影日2015/10/12

脇袋古墳群の西1.5kmの堤・下吉田地区の向山尾根上にある。
向山の西麓にある若狭テクノバレーの奥に登山道があるそうだが、登り口を知らず東麓から、山をよじ登る。
見学は10月に済ませた。

 向山古墳群は  前方後円墳1基・方墳1基・円墳7基で構成されている。


向山古墳群1〜3号墳実測図



3号墳は木棺直葬となっているようだ。

 向山1号墳は  全長48.6mの前方後円墳
  後円部径30.6m・高さ4.8m  前方部幅27.4m・高さ3.8m
 2段築成
 葺石あり 
 埴輪あり (円筒埴輪・朝顔形埴輪・きぬがさ形埴輪・盾形埴輪・家形埴輪)
 後円部中央に長さ3.6mの横穴式石室があり、墓道が前方部方向にのびる
  (前方部側へ開口する)
  この石室は本州最古期の横穴式石室で、北部九州とのつながりが考えられている。
 金製垂飾付耳飾のほか鏡2面や短甲2を含む多くの武器武具、装身具などが出土
 前方部にも武器・武具のみを納めた副葬施設が確認されている。
 5世紀中ごろの築造と推定されている。
 昭和62・63年に調査。   

後円部石室実測図
  (シンポジウム当日資料から)
上の図 横から見た石室
下の図 上から見た石室

石室の下半分は、山の岩盤を削り出して、
  上は石を積んでいる。

後円部石室遺物出土状況
  (シンポジウム当日資料から)
奥壁両側に2両の短甲が置かれていて
 画面左下の短甲内部から金製耳飾りが1点出土した。
遺体は、中央付近の鏡の左に頭
 奥壁側に足がくるように
  安置されていたと考えられている。

 掛金具も数点出土しているが、副葬品を吊したり、立てかけたり、
   幕を張りめぐらしたりするために、使われたと考えられている。
        (シンポジウムの講演から)

出土した「鏡」2点と「金製垂飾付耳飾の図」
  (シンポジウム当日資料から)

金製垂飾付耳飾は
 朝鮮半島で造られたものだと
 考えられている。



前方部武器武具埋納施設 出土状況図
(シンポジウム当日資料から)

中央あたりに短甲が置かれていて
他に鏃・刀・鉾・槍などが多数出土している



当時の若狭は、畿内の大和政権を通さず、
     直接朝鮮半島や北部九州と関わりを持っていたと考えられている。

2号墳

2号墳墳頂

手前は向山2号墳、奥は向山1号墳後円部

向山1号墳 後円部

向山1号墳 後円部より前方部

向山1号墳 前方部

向山1号墳 前方部先端の葺石

向山3号墳

発掘調査から30年が過ぎて、報告書が出来上がったのを記念してのシンポジウムだそうだ。
築造当時の、墳丘や石室内部の様子がうかがえて、とても充実した時間をすごせた。

向山古墳群を見学したとき、山のふもとでは二重の虹が見えていた・・・・

藤井岡三昧古墳

福井県若狭町藤井
撮影日2015/10/12

若狭町藤井の明倫小学校の東の山のふもとの墓地の横にある。

藤井岡古墳より先に調査されたらしい。
資料が見つけられず詳細不明だが、埴輪が出土しているという。



藤井岡三昧古墳

周溝跡も確認できる。

藤井岡古墳と同程度の円墳

墳丘上 竹が生えている・・・

実は「藤井岡古墳」を探していたら、見つかったのがこの古墳だった。
藤井岡古墳ではないとは思ったが、名前が分からない。
シンポジウム「向山古墳群の世界」のときに、担当者に尋ねたところ、この古墳は「藤井岡三昧古墳」とわかった。
藤井岡古墳に隣接しているということだが、藤井岡古墳は見当たらない・・・。

藤井岡古墳

福井県若狭町藤井
撮影日2015/11/22

今年(2015)8月末に「藤井岡古墳」の現説が行われたばかりというニュースを見て、藤井岡古墳を探す。
藤井岡三昧古墳のある墓地から、もう少し南にある民家の北側から、山道を登るとすぐ見えてくる。

 藤井岡古墳直径23m・高さ4mの円墳 山の尾根を生かした作りになっている。
  葺石あり 埴輪あり
  5世紀初頭の築造と推定されている。
  発掘調査で、円筒埴輪の破片など約500点が出土
  武具の形が忠実に再現された「甲冑形埴輪」のかけらも多数出土 
   埴輪は高さ60cm、幅50cm程度で、装飾として古墳の上部に並べられていたとみられている。
 平成25年・27年 発掘調査  平成27年8月に現説が行われた。


藤井岡古墳


墳丘上

墳丘上の葺石

墳頂から墳裾を見る

上り口から見た藤井岡古墳

現説も終わり、きれいに埋め戻されている。

松尾谷古墳

福井県若狭町藤井
撮影日2015/10/12

松尾谷古墳は、若狭地方の前方後方墳として有名だが、消滅している。
藤井岡古墳の近くの松尾山浄水場が、その跡地だ。

 松尾谷古墳は、全長35mの前方後方墳
  前方部に2基、後円部に1基の埋葬施設があり、、多くの出土品がある。
  4世紀前半の築造と推定されている。
 若狭歴史文化館での松尾谷古墳の出土品の展示には
  鉄鏃、ヤリガンナ、鉄槍、袋状鉄斧、鉄剣、器台形土器、壺形土器 などがある。


消滅した松尾谷古墳の跡地に建つ
      松尾山浄水場




松尾谷古墳と藤井岡古墳と藤井岡三昧古墳は近くにあるが、それぞれ別の道を通らないといけないようだ。
松尾山浄水場の登り口には、向陽寺というりっぱな寺がある。

上高野古墳

福井県若狭町井ノ口
撮影日2015/11/22

十善の森古墳の東200mの道路沿いの竹林のなかを探したら巨石があった!
径20m程の円墳とみられているが、詳細不明。


石室付近が藪となって保存されている。

墳丘かと思ったら、石が露出している

天井石。巨石だ・・・

内部は埋まっている

立派な石室なのだろうが、放置されている・・・・・。

その4へつづく

福井県の遺跡トップへ

トップページ