北村さんちの遺跡めぐり

更新日 2022/7/21

弥生最古の石製指輪出土
2022年 八日市地方遺跡
発掘調査現地説明会に参加して
撮影日2022/7/10
 

2022年7月9日、北陸中日新聞に
「小松・八日市地方遺跡から出土 弥生最古の石製指輪」という記事が掲載された。



発掘調査現地説明会が、7月10日に行われると知り、暑い中出かけた。

小松市の地図g

新幹線敷設工事に先立つ発掘調査は終わり、小松駅周辺の新幹線は完成している。
今回は、新幹線の東側の駅東地区複合ビルの建設に伴う発掘調査で、6月21日に、石製指輪が出土した。


(現地展示から)
2200〜2300年前ののもので、
国内でこれまで発見された中で
最も古いとみられている。
緑色凝灰岩製指輪
外径23.2mm
内径16mm
幅2.5〜3mm
断面形状は多角形
石材は玉作にも使われている地元産のもの

      イメージ
     (現説資料から)
 

淡緑色の指輪は半分欠損しているが、きれいな環状に仕上げられている。
指輪の号数でいうと10号に相当する。
一か所に直径1mmの孔があけられていて、破損した後に
 ペンダントとして再利用したか、指輪として補修して大切に使用されたと考えられている。
弥生時代の指輪の事例としては、これまでに全国で11例確認されている。
  愛媛県3、石川県1、新潟県1、長野県6

説明を聞いてから、遺跡内に立ち入って見学させていただいた。


指輪出土地点

土器出土状態
土器の年代から、その地層の年代を予測する


  八日市地方遺跡全体図 (現地説明板から)



今回の発掘調査区
(現説資料から)

八日市地方遺跡の中央を流れる旧河道の
左岸居住域を半円形に取りまく多重環濠の全体像が
ほぼ明らかとなった。


中央近くのが、指輪出土地点




発掘現場
手前は平地式建物跡

奥の環濠あたりで指輪が出土した。

発掘現場
左奥から右手前は環濠跡
環濠の向こうは墓域
   
      今回の出土品   (現地展示から)

 墓域では墓壙も発見された。

方形周溝墓

方形周溝墓の墓壙
木棺の痕跡が確認できる。

   小松市の地図g

小松市八日市地方遺跡
について

小松市土居原町・日の出町

2022年7月「石製指輪出土」の現説資料から

 八日市地方遺跡は、平成5〜12年度の小松駅東土地区画整理に伴う大規模な発掘調査で、弥生時代中期の環濠集落の存在が明らかになった。
 標高1.5mの微高地に立地し、日本海へと通じる河道の両岸に何重もの環濠に囲まれた居住域は、多数の建物跡や井戸、木工・玉作り等のものづくりの痕跡等で構成され、その外側には方形周溝墓を中心とする墓域が展開していた。
 存続期間は紀元前約350〜50年のおよそ300年間で、小松式土器が成立する最盛期には、新潟にまで及ぶ小松文化圏を形成した。
   八日市地方遺跡 全体図
 出土品は数十万点にも及ぶ膨大な量で、広範な地域間交流を示す各地の土器や、ヒスイ製勾玉や碧玉製管玉の製作工程品、農工具や容器類等の未成品を含む木製品、豊かな精神文化に彩られた多様な祭祀具等、重要な発見が相次ぎ、平成23年度に、出土品1020点が国重要文化財に指定された。
 近年では、柄付鉄製ヤリガンナが出土している。

重要文化財に指定された出土品

精巧な碧玉製管玉の製作工程品

造形豊かな木製のすくい具や容器

柄付き鉄製ヤリガンナ

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