北村さんちの遺跡めぐり
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小松埋文特別講座「小松を縦に掘る」 参加報告 |
小松市丸の内 小松市公会堂 2017/11/23 |
金沢駅以南の北陸新幹線の工事が進む中で、新幹線ルート付近の発掘調査が進んでいる。
「小松を縦に掘る」第1部 「北陸新幹線建設にかかる発掘調査の概要」 (藤田邦雄 石川県埋文センター所長)
北陸新幹線は小松市の平野部をほぼ南北に縦断し、
新幹線敷設の幅12mの発掘調査について、5ヶ所報告された。
北から順に紹介する。
1、松梨遺跡 | 小松市松梨町、犬丸町 撮影日2017/12/3 |
梯川下流域の平地に広がる弥生時代から室町時代にかけての大規模な集落遺跡。 古墳時代~室町時代の掘立柱建物や井戸、古墳時代の溝、奈良・平安時代の川、 鎌倉・室町時代の掘立柱建物などが確認されている。 川からは大量の食器類が出土していて、 その中には人名などが書かれた墨書土器も多く含まれていることから、 この辺りの中心的な集落が存在していたようだ。 川が埋まった後に建物が建てられていたところもある。 平安時代末~室町時代の井戸が多数確認された。 集落の形成以前と推定される噴砂(地震による液状化現象の跡)なども観察されている。 |
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2017/12/3 の松梨遺跡 中央は新幹線の高架建設中 |
2017/12/3 の松梨遺跡 反対方向 |
溝から出土した土器 (古墳時代) (当日資料から) |
川から出土した土器 (奈良時代) (当日資料から) |
出土した土器の皿 (平安時代末) (当日資料から) |
井戸の水溜に使用された曲げ物 (鎌倉時代) (当日資料から) |
2、園町遺跡 | 小松市園町 |
南北方向に伸びる砂丘上に立地する。標高25m。 全長80m余りの調査区から、弥生時代と中世の集落が確認された。 弥生時代の溝からは中期の土器が大量に出土していて、 八日市地方遺跡と同時期に集落が営まれていたと推定されている。 中世の集落は、鎌倉~室町時代のもので、掘立柱建物、竪穴建物、井戸などがみつかっている。 園町周辺は、中世の荘園である白江荘に含まれると考えられ、 調査で確認した中世集落はその荘園の領域内にあったものと考えられている。 方形周溝墓も発見されている。 |
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2017/12/3 の現在の園町遺跡 |
穴から見つかった弥生土器 (当日資料から) |
中世の竪穴建物 (当日資料から) |
中世の井戸 (当日資料から) |
3、八日市地方遺跡 | 小松市土居原町、日の出町 |
以前にも、紹介している。 八日市地方遺跡のページ をご覧ください。 新発見の「柄付きヤリガンナ」の紹介です。 |
4、大領遺跡 | 小松市大領町、今江町 |
木場潟の北側約500mに位置している。 古代(奈良・平安時代)と中世(鎌倉・室町時代)の二つの道路状遺構が確認された。 どちらも両側に側溝がある。 古代のものは、芯々(シンシン)(両側溝中心間の距離)幅9.5m、路面幅8mで、8世紀後半~9世紀初頭 中世のものは、芯々幅7.5m、路面幅7mで、16世紀後半と考えられている。 南加賀地域における古代・中世の陸上交通路の在り方を知る上で、貴重な手がかりとして注目されている。 縄文時代後期頃の土器や石器が出土していることから、 周辺に縄文時代の集落が存在していた可能性も考えられている。 |
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古代の道路状遺構と道幅(南西から) (当日資料から) |
中世の道路状遺構と道幅(南西から) (当日資料から) |
2017/12/3 の大領遺跡 |
検出面の砂層から出土した縄文土器(深鉢) (当日資料から) |
側溝から出土した古代の須恵器(三耳瓶) (当日資料から) |
水路から出土した中世の土師器皿 (当日資料から) |
大領遺跡付近は、現在も国道やJR北陸本線が走る交通の要衝であるが、古代・中世も同じだったのか・・・。
小松にあったと推定されている国府を通る官道かもしれない・・・・。
5、島遺跡 | 小松市島町 |
JR粟津駅から東南に約1km、月津台地の東縁付近に位置している。 これまでにも調査が行われていて、掘立柱建物や井戸、区画溝、竪穴状遺構などがみつかっていて、 古墳時代から中世の集落であったことがわかっている。 ふいごの羽口(鍛冶炉の送風管の先端部分)や鍛冶滓(鍛冶作業で生じる不純物の塊)、 炉壁の破片なども出土しているので、、金属加工を行っていたと考えられている。 今回の調査では、古代の掘立柱建物、中世の掘立柱建物、中世の井戸、区画溝などがみつかり、 長期にわたり集落が営まれていたことがわかった。 |
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古代の掘立柱建物 (当日資料から) |
2017/12/3 の島遺跡 |
中世の掘立柱建物 (当日資料から) |
2017/12/3 の島遺跡 |
区画溝 古代 (当日資料から) |
中世の土器が埋納された穴 (当日資料から) |
「小松を縦に掘る」の第2部は、「北陸新幹線ルートの地質成果から見た遺跡の立地」(小岩直人 弘前大学教授)。
ボーリンク調査を基に小松市内の地形発達と遺跡の立地についてのお話だった。
内容を説明するのはむずかしいんだけれども、これがなかなかおもしろかったのです。
「小松を縦に掘る」第3部は「座談会 調査成果の意義と研究展望」
(コメンテーター 吉岡康暢 国立歴史民俗博物館名誉教授)。
話声が小さくてよく聞き取れず、残念だった・・・。
この講座は、定員120名だったが、150名の応募があったそうだ。