北村さんちの遺跡めぐり
更新日2017/4/20

金沢市北部の古墳探索
その1・小坂の古墳
2017/2/28・3/5・3/12

ずいぶん前から、小坂1号墳に行ってみたいと思っていた。
御所八塚山古墳群も整備されて見やすくなったと聞いていた。
野間神社の後ろにも古墳があるとか・・・

小坂公民館には、「古墳部」がある。
この小坂古墳部主催の御所八塚山古墳群の見学報告会が、2016年7月にあると聞き、
申し込んだのだが、体調不良で参加できず・・・・

後日、資料をいただき、登り口などをお聞きして、いつ行こうかと考えながら・・・
熊が出没するという噂もあり・・・
3つの古墳群の見学ができたのは、翌年の2月末となってしまった・・・。


小坂古墳群
・野間神社裏古墳群
・御所八塚山古墳群
の位置関係図


小坂古墳群は南西の墓地の奥から山に入る。
発掘調査された1号墳は、径25mの円墳。

野間神社裏古墳群A群は小金保育園の駐車場の奥から山に入る。
B1号墳(径20mの円墳)は、行雲寺の後ろの墓地から山に入る。


御所八塚山古墳群は、加茂神社の駐車場から山道を登る。
4号墳は全長57mの前方後円墳。


小坂古墳群と谷を挟んだ北側には神谷内古墳群がある。
石川考古学研究会会誌第22号(昭和54年)に「北加賀地域古墳群分布調査報告」が掲載されている。

金沢市の地図g

御所八塚山古墳 金沢市御所町
撮影日2017/2/28・3/5・3/12

加茂神社の駐車場から山を登る。
以前は細い山道しかなかったらしいが、現在は小さめの馬力がある自動車なら通れそうな道がつくられている。


整備された道

 横に山道がある。




見学している間、ずっと木を切るチェンソーの音がしていて、どんどん整備が進んでいると実感する。

 御所八塚山古墳は星稜高校の背後標高100mの丘陵尾根にある。
  1989年の測量で、4号墳と5号墳が一体となって、前方後円墳と確認されたので、5号墳は欠番
   8基の墳丘で構成されている。 
   御所八塚山古墳群配置図
1号墳 円墳  径27m・高さ4m
2号墳 造出し付円墳  径20m・高さ4m
 北側に4×7m・高さ1mの造り出し状遺構
3号墳 円墳  径20m・高さ4m
4号墳 前方後円墳  全長57m・高さ6m
 後円部径37m・前方部高さ4m
5号墳 欠番
6号墳 方墳  一辺27m・高さ3m
7号墳 方墳  18×17m・高さ3m
8号墳 方墳  19×20m・高さ3m
9号墳 方墳  15×20m・高さ1m
(石川考古学研究会会誌第22号の資料に加筆した)



古墳群に至る手前の鞍部が墳丘っぽく見える・・・

4号墳の南東あたり
まず見えるのが4号墳の後円部。

 御所八塚山4号墳  全長57m・高さ6mの前方後円墳
   後円部径37m・前方部高さ4m

4号墳後円部 左に前方部

4号墳 後円部から前方部を見る
 4号墳前方部のくびれ部あたりに潰れて屋根だけになった建物と小さな祠があるが、
      元はここに「弁財天堂」があった。 現在は加茂神社に移されている。

西から見た4号墳

4号墳 前方部から後円部を見る

4号墳 前方部西脇から見た後円部

4号墳から南には、6・7・8・9号墳が続く。

 御所八塚山6号墳  一辺27m・高さ3mの方墳 墳頂平坦面広い


6号墳

4号墳前方部から見下ろす6号墳

7号墳から見上げる6号墳

    

 御所八塚山7号墳  18×17m・高さ3mの方墳 墳頂平坦面広い

7号墳
   右端は8号墳

6号墳から見下ろす7号墳。 奥は8号墳

8号墳から見上げる7号墳。 奥は6号墳

   

 御所八塚山8号墳  19×20m・高さ3mの方墳   墳頂平坦面広い

8号墳。 奥に9号墳。

9号墳から見上げる8号墳。 奥に6号墳。

  

 御所八塚山9号墳  15×20m・高さ1mの方墳  墳頂平坦面広い


8号墳から見下ろす9号墳

4号墳の西には、3・2・1号墳が続く。

 御所八塚山3号墳  径20m・高さ4mの円墳


3号墳

4号墳から見た3号墳

2号墳から見た3号墳

  

 御所八塚山2号墳  径20m・高さ4mの造出し付円墳
  北側に4×7m・高さ1mの張出し遺構がある。


2号墳

3号墳から見下ろす2号墳

1号墳からみた2号墳 造出し部側

   

 御所八塚山1号墳  径27m・高さ4mの円墳

1号墳

2号墳から見た1号墳

加茂神社は駐車場から一段下にある。


加茂神社社殿

境内にある湧き水「椎木水」
後の額に、椎木水の由来が描かれているが、
読めない・・・

弁財天堂
元は御所八塚山古墳群の
 1号塚の辺り(現在の4号墳前方部)に
 安置されていたが、
 昭和49年に加茂神社境内に遷された。


弁財天は、七福神中唯一の女人神として、
  美徳才智兼備した、理想の具現像である。
       (説明板から)

御所八塚山古墳群は地元の人たちが中心となって、整備を進めていると聞いた。

小坂古墳群

金沢市小坂町
撮影日2017/2/28・3/5・3/12

御所八塚山古墳群と谷を挟んだ北の山には、小坂古墳群がある。
円墳10基・方墳4基の計14基が確認されている。
11号墳~14号墳は現在、山側環状道路の神谷内トンネルの上にある。

小坂古墳群は平野部に接する丘陵尾根に位置する。
    小坂古墳群配置図

  (石川考古学研究会会誌第22号の資料に加筆した)

A群(1~7号墳)、B群(8~10号墳)、C群(11~14号墳)

1号墳は発掘調査されている。
大きさ
A群 1号墳 円墳  径25.0m・高さ4m
2号墳 円墳  径9.0m・高さ1.5m
3号墳 円墳  径22.5m・高さ2.5m
4号墳 円墳  径18.0m・高さ1.5m
5号墳 円墳  径15.0m・高さ2m
6号墳 円墳  径15.5m・高さ1.5m
7号墳 円墳  径18.0m・高さ4m
B群 8号墳 円墳  径30.5m・高さ6m
9号墳 円墳  径15.0m・高さ2m
10号墳 円墳  径14.0m・高さ1.5m
C群 11号墳 方墳 一辺19.0m・高さ1.5m
12号墳 方墳 一辺15.0m・高さ2.5m
13号墳 方墳 一辺19.5m・高さ2.5m
14号墳 方墳 一辺22.5m・高さ2m
小坂古墳群は平野部に接する丘陵尾根に位置する。
 小坂古墳群配置図

 (石川考古学研究会会誌第22号の資料に加筆)
A群(1~7号墳)、
B群(8~10号墳)、
C群(11~14号墳)

1号墳は発掘調査されている。
大きさ
A群 1号墳 円墳 径25.0m・高さ4m
2号墳 円墳 径9.0m・高さ1.5m
3号墳 円墳 径22.5m・高さ2.5m
4号墳 円墳 径18.0m・高さ1.5m
5号墳 円墳 径15.0m・高さ2m
6号墳 円墳 径15.5m・高さ1.5m
7号墳 円墳 径18.0m・高さ4m
B群 8号墳 円墳 径30.5m・高さ6m
9号墳 円墳 径15.0m・高さ2m
10号墳 円墳 径14.0m・高さ1.5m
C群 11号墳 方墳 一辺19.0m・高さ1.5m
12号墳 方墳 一辺15.0m・高さ2.5m
13号墳 方墳 一辺19.5m・高さ2.5m
14号墳 方墳 一辺22.5m・高さ2m



西側から、小坂古墳群のある山を眺める。


奥の鉄塔の辺りが、1・2号墳のあたり。

見えないが、もう一本奥の鉄塔は11号墳の上に立つ。

ふもとの墓地の奥から山に登る。



2号墳より前にある古墳状隆起
    元は建物でもあったのか?・・・
    

 小坂古墳群A群
 1号墳  径25.0m・高さ4mの円墳   
  1969(昭和44)年に発掘調査されている。

小坂1号墳の測量図
  (昭和45年発行 石川考古学研究会誌第13号
   「金沢市小坂1号墳の調査」から)

埋葬施設は、2基の木棺直葬で、
 鉄剣1・鉄鏃6・刀子1・ヤリガンナ1
     ・鉄斧2・鉾状鉄器3などの鉄製品と
 碧玉製紡錘車などが出土している。
 墳丘上では、口縁端の内面が肥厚した
   いわゆる布留式土器が採集されている。
5世紀前半でも中葉に近い築造と推定されている。
 標高75mの1号墳の墳頂を利用して、鎌倉時代前期(13世紀前半)の経塚もつくられていた
  経典の入った甕は深さ35cm・幅45cm黒色の珠洲焼で、
   内部に高さ24.3cm・直径12cmの青銅製の経筒2本があり、
      この中に経軸がそれぞれ一本づつ入っていた。(経巻きは全く形をとどめていなかった。)

1号墳
 

1号墳 墳頂はざっくりとえぐれているのだが、
写真ではわからない・・・ 
 発掘調査されてから50年近くが経ち、現在は雑木の中に埋もれている。
 2号墳     径9.0m・高さ1.5mの円墳 
   墳頂には三角点(74.6m)がある。 すぐ横に鉄塔が立つ。

2号墳

墳頂に、
「文化財を大切にしましょう」と書かれた白杭と
三角点(コンクリート製)がある。
 3号墳      径22.5m・高さ2.5mの円墳
 4号墳      径18.0m・高さ1.5mの円墳    西側崩壊

 5号墳      径15.0m・高さ2mの円墳     西側崩壊
 6号墳      径15.5m・高さ1.5mの円墳
 7号墳      径18.0m・高さ4mの円墳

7号墳の北には古墳がないはずだが、もう一つ古墳のような高まりがある。


7号墳の北側の古墳もどき?

A群からさらに東へ・・・

 小坂古墳群B群
 8号墳      径30.5m・高さ6mの円墳    墳丘上に山道が通る。

北西から見る

南東から見る
 9号墳      径15.0m・高さ2mの円墳


9号墳から見た景色
 10号墳      径14.0m・高さ1.5mの円墳

B群からさらに東へ・・・。C群は、1号墳の発掘時には、まだ確認されていなかった。
このC群(11~14号墳)は階段状につくられている。

 小坂古墳群C群
 11号墳
 一辺19.0m・高さ1.5mの方墳
    送電線鉄塔により半壊
    墳頂部平坦面広い 
 標高約100m、小坂古墳群中最高所にある。





 12号墳
 
 一辺15.0m・高さ2.5mの方墳

   墳頂部平坦面広い
 13号墳    一辺19.5m・高さ2.5mの方墳    墳頂部平坦面広い
 14号墳    一辺22.5m・高さ2mの方墳    墳頂部平坦面広い


野間神社裏古墳群 金沢市小坂町
撮影日2017/2/28・3/5・3/12

野間神社の裏山にある。

野間神社

主祭神は 草野比売大神(カヤノヒメオオカミ) 
延喜式内の名社

創建は悠久の太古だが、文献に現れたのは斉明天皇2年(656)。
(説明板から)

 野間神社裏古墳群は 
  御所八塚山古墳群の築かれている尾根の、北側の尾根先端につくられた古墳群。
  北のA支群と南のB1号墳がある。
 野間神社裏古墳群 配置図

  (石川考古学研究会会誌第22号の資料に加筆した)

A群 A1号墳 方墳 一辺15m・高さ3m
A2号墳 方墳 一辺12m・高さ2.5m
A3号墳 方墳 一辺12m・高さ2.5m
A4号墳 円墳 径13.5m・高さ2.5m
A5号墳 円墳?
A6号墳 方墳 一辺7m・高さ2m
A7号墳 方墳 一辺7m・高さ2m
A8号墳 方墳 一辺8m・高さ2m
A9号墳
A10号墳
B群 B1号墳 円墳 径20m・高さ3m

 (資料ではA支群は8基となっているが、少しづつ調査がなされているらしく、
  A1号墳から、もっと上に登ってみたら、墳丘らしい高まりがあり、
  「A9」・「A10」と書かれた杭が立っていたので、A9号墳・A10号墳を追加した。)
    
  1~4号墳は10m以上の大きさで、尾根筋に階段状につくられている。
 その南側の丘陵斜面に、「山寄せ」につくられた6~8号墳は、一般的な古墳の立地とは異なり、
   大きさも10m以下と小さいので、古墳ではなく、中世の「塚」の可能性が大きいとみられている。

 B1号墳は、現在単独に立地しているが、地形的に見てさらに数が増える可能性がある。
                       (石川考古学研究会会誌第22号から)

A群は、野間神社の北にある小金保育園の駐車場の奥から山に入る。すぐ6・7・8号墳がある。

 野間神社裏古墳群A群
 A1号墳   一辺15m・高さ3mの方墳   墳頂部平坦面6×5m   標高20m付近
 A2号墳    一辺12m・高さ2.5mの方墳   墳頂部平坦面5.5×5.5m


 A3号墳    一辺12m・高さ2.5mの方墳  墳頂部平坦面4×4m


 A4号墳    径13.5m・高さ2.5mの円墳  墳頂部平坦面径6m


 A5号墳     円墳 ?  

土取りのため消滅 
   4号墳横に裾が残存

6~8号墳は、斜面にある上に、墳丘上に山道が通っていたりするので、分かりにくい。


 
A6号墳 
        
一辺7m・高さ2mの方墳   

 
A7号墳
         
一辺7m・高さ2mの方墳  

 
A8号墳
         
一辺8m・高さ2mの方墳  


   道路が真ん中に通り、裾のみ残る

A1号墳までは、山道があったが、これより上は高い方を目指して登ってみる。
先に見えるのはA10号墳だが、番号順に紹介。

 A9号墳  詳細不明    A10号墳からさらに5mほど高いところ、標高65m付近の尾根頂部にある。

赤い杭に「A9」と書かれている。
 A10号墳  詳細不明    A1号墳から20mほど高いところにある。 標高60m付近

赤い杭に「A10」と書かれている。

B1号墳は野間神社の南にある行雲寺の奥の墓地から山に登る。


左の行雲寺と民家の間の道をずっと行く・・・



途中で道が消え、無理やり登る。


野間神社裏古墳群B1号墳    径20m・高さ3mの円墳   墳頂部平坦面径12m

B1号墳は、径20mほどの円墳と考えられていて、A群とは性格の違うものと考えられている。

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