北村さんちの遺跡めぐり
加賀市
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加賀市八日市遺跡現説 参加報告 |
加賀市八日市町 |
10月27日の北陸中日新聞に現地説明会の案内が掲載されたので、小雨の中、出かける。
現説が始まった頃には本格的な雨・・・。
弓波遺跡現地説明会の時に行った白水の泉公園のすぐ南が、発掘現場だ。
白水の泉公園
蓮如上人が、大地に杖を突きさしたところ、
そこから水晶のような透き通った水が涌きだした。
それ以来、この井戸を「白水の井戸」と呼ぶ。
蓮如上人500年遠忌にあたり、平成9年
この隣にある鹿野酒造が井戸を復活させ、仕込み水として酒造りを行った。
加賀地方の一部に生息する希少種のホトケドジョウも保存している。
そばの田んぼでは、酒造りに使われる「山田錦」が育てられている。
今回の発掘現場は、この写真の左手前(南東側)となる。
加賀市の地図g
八日市遺跡とその周辺
JR加賀温泉駅の東1.8km、
柴山潟に流れこむ八日市川右岸の低地。
西隣りには弓波遺跡、北側には猫橋遺跡がある。
現説の様子
左・4号住居 右・5号住居
八日市遺跡は北陸新幹線の建設に伴い発掘調査。 調査の結果、八日市川に流れ込むとみられる小川を確認し、 その北岸に古墳時代前期ごろの集落が営まれていたことが明らかになった。 ![]() 調査区の概要 (住居とは竪穴建物 掘立とは掘立柱建物のこと) これまでに、古墳時代前期の竪穴建物6棟以上、掘立柱建物9棟が見つかっているほか、 川跡からは大量の土器と木製品が出土した。 中でも竪穴建物の4号住居では、 小型の炉跡5基が確認され、銅鏃の未完成品が2点出土したことから、 小型銅製品を鋳造・生産した工房だったと考えられている。 この時期の鋳造炉を伴う工房の確認例は極めて少なく、 当時の銅製品鋳造技術や地方での生産の実態を考える上で、重要な発見となった。 このほか焼失した竪穴建物5号住居では、鉄滓が出土しており、 鍛冶が行われていたことも推定されている。 |
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![]() 中央 1号住居(竪穴建物) 1号住居に5号掘立柱建物が重なっている。 奥には2号住居と3号掘立柱建物が重なっている。 |
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3号住居 溝をもつ竪穴建物
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4号住居(竪穴建物) 小型の炉跡5基が確認された建物 小型銅製品を鋳造・生産した工房だったと考えられている。 炉跡は直径20cm、深さ4.5cm。灰と炭が多く、底には焼土があった。 一つの建物跡に5基が確認された。 銅鏃の未完成品2点は、長さ4cmほどで、 先端がともにとがっておらず、加工の途中だったとみられる。
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5号住居(竪穴建物) 4号住居に隣接していて、焼失したとみられている。 鉄滓(鉄を精錬する際に出る不純物)が出土したので、鍛冶が行われていたと考えられている。
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川跡 水が涌いていて、小川となり、八日市川に流れこんでいる。 川から出土した木製品には、 漆が塗られた容器や火おこしにつかわれたとみられる火きり臼、 建築部材や 祭祀に使われたとみられる桃の種もたくさん出土している。 川底には石が敷き詰められている所があって、足が沈まない構造になっている。 そこで、涌き水を汲み、祭祀を行っていたと考えられている。
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そのほかの展示品の一部を紹介。
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![]() 出土した土器 |
![]() 出土した土器 |
![]() 火おこし用のもの |
![]() 柱穴に残っていた柱根 |
この時期の鋳造炉を伴う工房の確認例は極めて少ないという事で、
現説の翌日には、九州から専門家を呼んで視察してもらうという事だったが、どうなったのだろうか・・・
隣りの弓波遺跡と合わせ、総合的に意義を考えていかなければならない遺跡だと思う。