北村さんちの遺跡めぐり
更新日2015/10/25
氷見市の古墳その5
氷見市史から2015/5/3・6
氷見市史に、氷見の古墳について詳しく掲載されている。
これを参考にして、氷見市の古墳探索へ・・・・・
5月の連休中、二日間、氷見市に通う。その5です。朝日地区の遺跡編。
上日寺 ジョウニチジ |
氷見市朝日本町 撮影日 2015/5/6 |
氷見市の中心街にある。上日寺の大イチョウは有名だ。
上日寺 高野山真言宗の寺。山号は朝日山。 本尊は閻浮檀金(エンブダンゴン)といわれる1寸8分(約5.5cm)の千手観世音菩薩。 創建は681年(天武天皇10)、開基は法道上人と伝える。 かつては七堂伽藍が完備し、18坊を有した大寺であったが、 数度の火災により、現在は 江戸時代の本坊(銀杏精舎(ギンナンショウジャ)、観音堂など数宇を残すのみである。 銀杏精舎の名は、白鳳10年当寺創建の際、観音菩薩を安置し、 イチョウがその霊木として伝えられることに由来する。 |
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上日寺のイチョウ 樹齢1300年、樹高36m、幹回り12m。大きさでは日本でも屈指のものである。 4月下旬雌花を開き、秋には多くのぎんなんをつくる。 地上3〜5mのあたりから大小無数の気根が垂れている。 その先端が削られているのは、乳の出ない母親が乳の出るようにと祈り、 煎用するという民間信仰のためである。 乳授けの霊木といわれ国の天然記念物。 |
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上日寺 |
上日寺のイチョウ |
上日寺 本堂 |
上日寺 地蔵堂 |
上日寺と朝日寺山古墳群の位置
(氷見市史から)
朝日寺山古墳群 | |
1号墳 | 径38〜40mの円墳 |
2号墳 | 一辺8mの方墳 |
3号墳 | 径10mの円墳 |
朝日寺山古墳群の南には、朝日長山古墳があった。
朝日寺山古墳群 | 氷見市朝日本町 撮影日 2015/5/6 |
上日寺の境内の奥から、藪をかき分けて古墳群のある丘に上がる。
竹林となっている。
朝日寺山古墳群は 旭山丘陵の東端、真言宗の古刹上日寺境内南側の通称寺山に3基からなる。 上日寺背後の丘陵上には氷見高校があり、 そこから南東方向へ延びるやせ尾根先端を大きな溝で切断して大型円墳の1号墳を作っている。 標高40m。 1号墳の南側裾には墳頂から約7m下ったところに崖に接して2号墳がある。 さらに南東側へくだった標高25mレベルに3号墳がある。 朝日寺山1・2号墳 墳丘測量図、復元図 (氷見市史から) 左下の四角いのが2号墳 植林以前は開墾されていて、 改変が激しく、段状に造成されている。 1号墳は 径38〜40mの円墳と考えられている。 2号墳は 一辺8m・高さ1mの方墳 南側が欠損 3号墳は 径10m・高さ1.5mの円墳 1号墳北側裾には中世の五輪塔が数基あり、以前にここから珠洲焼骨臓器も出土していることから、 上日寺の中世墓地の一部としての改変もあったと考えられている。 平成8年(1996)に発見された。 平成11年(1999)に測量調査。遺物は確認されていない。 |
朝日寺山1号墳 墳丘 |
朝日寺山2号墳 墳丘 |
杉の植林がされていたというが、竹のほうが多い。
朝日長山古墳 | 氷見市朝日本町 |
氷見市史では、この朝日長山古墳の詳しい説明がある。
朝日長山古墳は、前方部を北東に向けた前方後円墳だったが、
現在は前方部の一部を残すのみでほとんどが消滅している。
朝日長山古墳は 全長43mの前方後円墳 後円部径25m・高さ3m 前方部長さ18m・高さ3m 朝日長山古墳墳丘復元図 (氷見市史から) 朝日寺山古墳群のある丘陵から南に下り屈折した所にある。 標高20m。 後円部は墓地で削られている 埴輪が墳頂部を巡っていたと考えられている。 石室は後円部の後端寄りにあり、竪穴系横穴式石室と考えられている。 外部の大きさは、北東から南西長さ7.1m、南東から北西幅は北東端で3m、 中央部で2.6m、南西端で2.4m 内部は長さ5.8m・幅0.9m・高さ1.3〜1.4mで、 石室内は床、壁、天井がベンガラで赤く彩色されていた。 石室内出土遺物 鉄製品・・直刀、刀子、短剣、鉾、鉄鏃、鉄環 金銅製品・・杏葉、冠帽 金具、鞍、鋲など 玉類・・管玉、小玉 須恵器・土師器 6世紀前半の築造と推定されている。 |
昭和25年、氷見高校歴史クラブが古墳の石室を発見、 昭和27年・昭和49年の2回発掘調査。 昭和44・46年には、円筒埴輪と形象埴輪が確認されている。 昭和47年第二次調査 |
消滅していなければ、柳田布尾山に匹敵する史跡になっていただろう。
朝日潟山古墳群 | 氷見市朝日本町 撮影日 2015/5/6 |
朝日貝塚のある誓度寺に駐車して、潟山の南裾側へ向かう。
山裾をすこしずつ削り住宅が建てられているようだ。
朝日潟山古墳群 位置
(氷見市史より)
1号墳は 前方後円墳
(前方後方墳かもしれない)
南西の山裾で、山に上がる階段を発見!
擁壁を分断するようにある階段を 上がると、古墳がある。 山上は鳥(鷺か?)の住処となっているらしく、 怪獣のような鳴き声が響いていて、 地面は糞で白くなっている |
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朝日潟山古墳群は 仏生寺川の下流左岸、朝日丘の通称潟山にある。 古墳群は潟山の南端部標高21〜25mの尾根に立地し、前方後円墳1・方墳1がある。 平野の標高は約3m 朝日潟山古墳 測量図 (HP富山市歴史探訪から) 1号墳は 全長34mの前方後円墳 後円部の長さ20m・同高さ2.2m 前方部の長さ14m・同高さ1.8m 前方部の幅16.5m、くびれ部幅9.5m 前方部を北北西に向ける 葺石なし 開墾による改変があり、古墳の形をわかりにくくしている。 2号墳は 14m×12mの方墳 1号墳から17mはなれていて、 やせ尾根を直交方向の大溝で画していて、長軸を尾根方向にとる。 昭和56年に発見され、平成5年に測量調査。 |
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1号墳 前方部から後円部を見る |
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1号墳 後円部から前方部を見る |
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1号墳から2号墳(?)を見る 2号墳の向こうには 市街地がひろがる。 |
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潟山の東裾には、国指定史跡・朝日貝塚があり、 縄文時代前期から中期のほか、弥生時代終末期から古墳時代、古代、中世にわたる。 |
竹が生えていて、墳丘がよく見えない状態だ。
稲積オオヤチ古墳群・B支群 訂正版 |
氷見市稲積 撮影日2010/3/31 2010/4/4 |
平成10年に、稲積オオヤチ古墳群のB群が、能越道建設で削平されることとなり発掘調査されたときに、見学に行った。
2014年発行の「加納南古墳群・稲積オオヤチ古墳群 発掘報告書」がインターネットで公開されている。
削平されたB支群の報告書だが、
前回報告したのとは、古墳の配置が違っているので、、訂正して、もう一度紹介しようと思う。
現在B支群は、ほとんど削平され能越自動車道が通っている。
稲積オオヤチ古墳群 配置図 (報告書から作成)
A1号墳 | 全長46.5mの 帆立貝形前方後円墳 |
A2a号墳 | 10.8×8mの方墳 |
A2b号墳 | 11×7mの方墳 |
A3号墳 | 15×10mの方墳 |
A4号墳 | 17.5×15の方墳 |
A5号墳 | 全長12.5mの前方後方墳 |
A6号墳 | 9.5×4mの方墳 |
A7号墳 | 全長23mの前方後方墳 |
A8号墳 | 9×9mの方墳 |
A9号墳 | 13×5.5mの方墳 |
A10号墳 | 10.5×6.5mの方墳 |
A11号墳 | 9×7mの方墳 |
A13号墳 | 8.5×5.5mの方墳 |
A14号墳 | 11.5×7mの方墳 |
A15号墳 | 12×10.5mの方墳 |
B1号墳 | 13.5×10.7mの円墳 |
B2号墳 | 径20mの円墳 |
B3号墳 | 径22mの円墳 |
B4号墳 | 全長28mの前方後円墳 |
稲積オオヤチ古墳群・B支群は
氷見市史では、方墳1基と円墳4基から構成されると考えられていた。
B支群の全域が能越自動車道の調査対象地となり、平成18年度から調査
B支群は尾根の北東から、B1号墳、B6号墳、B2号墳、B3号墳の円墳と
B5号墳とB4号墳を統合した前方後円墳・B4号墳の計5基と確認された。
古墳名 | 形 | 大きさ | 周溝 | 埋葬施設 | 埋葬施設出土品 | 外部施設出土品 | |
B1号墳 | 円墳 | 径13.5×10.7m・高さ2.2m | 幅0.9m | 不明 | なし | 須恵器・甕 | |
B2号墳 | 円墳 | 径20m・高さ2.4m | 幅3.5m | 割竹形木棺 | なし | 煙管 | |
B3号墳 | 円墳 | 径22m・高さ2.5m | 幅2m | 割竹形木棺 | 鉄剣、ヤリガンナ、不明鉄製品、 棗玉、管玉、竪櫛 |
鍬・鋤先・土師器 | |
B4号墳 | 前方後円墳 | 全長28m 後円部 径15m・高さ2.1m 前方部 幅16m・高さ2.4m |
なし | 後円部 | 割竹形木棺 | 鉄刀・刀子・鉄鏃など | 土師器、須恵器、砥石 |
組合式木棺 | |||||||
前方部 | 割竹形木棺 | 鉄刀・刀子・土師器 | |||||
B6号墳 | 円墳 | 径8.5m・高さ1.4m | 幅2.4m | 不明 | なし | なし |
工事現場の上に見えるB4号墳
この山が削平された・・・・。
撮影日2010/3/31
B4号墳(前方後円墳)から見たB支群 奥から B1号墳 (山頂手前の白い部分) B6号墳 B3号墳 B2号墳は B3号墳に隠されて 見えていない。 左に能越道のトンネルが見えている。 (撮影日2010/4/4) |
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稲積オオヤチB4号墳(前方後円墳) 手前後円部 (撮影日2010/4/4) 北に前方部があり、前方部が高い |
稲積オオヤチB3号墳から見たB4号墳 右手前・前方部 左奥・後円部 (撮影日2010/4/4) |
奥から B6号墳 B2号墳 B3号墳 (撮影日2010/4/4) |
稲積オオヤチB6号墳 (撮影日2010/4/4) |
稲積オオヤチB1号墳 B支群中最高所にある。 (撮影日2010/4/4) |
A支群は前回のデータと変わらない。
稲積オオヤチ古墳群周辺の古墳 (報告書から作成)
氷見の古墳探索 おわり